2025年セレクトセールの落札額2億円以上の馬の母系(その3)
今回は前回の (その2) の続きです。
Iキャンプロックの2025
当歳の落札額 10 番手(2億3千万円)のこの馬はまたまたイクイノックス産駒。
母はフランス産のGVの勝馬で、祖母が こちら の水色。
セレクトセールにおける高額落札馬にしては地味な母系であり、馬体や身のこなしが人の眼にいくら優れて映ったとしても、
生まれて半年の幼駒のそれが将来の競走成績に直結するとは思えず、これも「イクイノックス」というブランド効果でしょうか。
Jルールブリタニアの2025
同額 10 番手(2億3千万円)のこの馬はエピファネイア産駒。母はディープインパクト産駒の1勝馬。祖母は こちら の水色。
つまり伯母にミッキークイーン、いとこにブレイディヴェーグという血筋です。
Kシュガーハートの2025
当歳の落札額 12 番手(2億2千万円)のこの馬はコントレイル産駒で、母は こちら。
言わずもがなのキタサンブラックの半弟で、母が20歳の時の仔です。
昨今はどうも母高齢馬は敬遠されがちのような気がしているのですが、ちょっと過剰ではないかと思うことがしばしばあり、これに関しては以前、
「求められる多面的・多角的な思考力(その2)」に書きました。
ちなみに、歴代の日本ダービー馬で最も高齢の母から生まれてきたのはミナミホマレとキズナであり、母 20 歳時の仔です。
また、今年のダービー馬のクロワデュノールは母 19 歳時の仔です。
Lコミッショニングの2025
同額 12 番手(2億2千万円)のこの馬もコントレイル産駒。母は こちら の英国産のGI馬で、
祖母の全弟に愛ダービーと英セントレジャーを勝った Capri がいます。
血統構成は こちら のとおり、5代血統表レベルでは完全なアウトクロスです。
Mキングズハーレクイーンの2025
当歳の落札額 14 番手(2億1千万円)のこの馬はキタサンブラック産駒で、母は愛国産のGV馬。
今世紀生まれのGI馬を網羅している我が母系樹形図において、ようやく こちら の緑色の牝馬にたどりつきました。
この牝馬はこの当歳馬の8代母になりますが、高額落札馬でここまでさかのぼる例はあまりないような気がします。これも「キタサンブラック」というブランド効果でしょうか。
血統構成は こちら のとおり、5代血統表レベルでは完全なアウトクロスです。
Nオンディナドバイの2025
当歳の落札額 15 番手(2億円)のこの馬もキタサンブラック産駒。母は こちら のアルゼンチン産のGI馬。
派手さはないものの、地味でもない母系です。
血統構成は こちら のとおり、5代血統表レベルでは完全なアウトクロスです。
Oシーリングクラッシャーの2025
同額 15 番手(2億円)のこの馬はエピファネイア産駒。母は こちら の米国産のGI馬。
樹形図に派手さはないですが、いずれにしても母はGI馬なので、気に留めておきたいと思います。
Pカレドニアロードの2025
さらに同額 15 番手(2億円)のこの馬はイクイノックス産駒で、母は こちら の米国産のGI馬。
O同様に、母はGI馬なので気に留めておきたいと思います。
血統構成は こちら のとおり、5代血統表レベルでは完全なアウトクロスです。
Qアメリカンソングの2025
もう1つ同額 15 番手(2億円)のこの馬はキタサンブラック産駒。母は こちら のアルゼンチン産のGI馬。
我が樹形図は違う種牡馬相手に複数のGI馬を産んだ牝馬を太字にしていますが、
兄 Mystery Train と弟 American Tattoo の父は Not for Sale である一方で、母アメリカンソングの父は Stripes Song です。
いずれにせよ、複数のGI馬を産むこと自体が尋常ではなく、3頭も産むような牝祖を持つ母系は目が離せません。
この当歳馬の血統構成は こちら のとおり、5代血統表レベルでは完全なアウトクロスです。
以下雑感
(その1) (その2)、そして今回の(その3)で計 30 頭を取り上げました。
これらにおいてキタサンブラックの産駒は9頭、そして当歳が初年度産駒となるイクイノックスの産駒は6頭もいました。
つまり半分もがこの2頭のいずれかの産駒ということになり、このような人気の偏りは来年、再来年も続いていくのだろうかと思うと同時に、
あらためて「ブラックタイドの父系」の一番下に書いたような不思議な気持ちになりました。
(2025年7月30日記)
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