日本で供用される米三冠馬

こちら は昨日、日本軽種馬協会のウェブサイトに掲載されたプレスリリースです。 2015 年の米三冠馬である American Pharoah を来年静内で供用するとのことであり、 種付料は日本軽種馬協会所有の種牡馬の中では最高額となる400万円とのことです。 なお、正式な登録和名は未確認ですが、「アメリカンファラオ」で間違いないでしょうから、以下この馬の名はカタカナで記します。

早速 SNS では日高の生産者の歓喜コメントをいくつか見ましたが、しかしこればかりは蓋を開けねば実際の成果はわかりませんし、 当然にその配合における近交度合(近交係数)や母系の質などの各種要素にも左右されます。

アメリカンファラオ産駒のGI馬は現時点で9頭いますが、以下のとおり、その母系を我が樹形図でちょっと眺めてみました。 我が樹形図は今世紀生まれのGI馬を網羅しており、下線を付した馬がGI馬、太字は違う種牡馬を相手に複数のGI馬を産んだ牝馬です。

カフェファラオ
American Theorem
As Time Goes By
Harvey's Lil Goil(USA)
ヴァンゴッホ
マーケットセグメンテーション
Above the Curve
Riff Rocket
Goldrush Guru

例えばカフェファラオのことは、先日発行した拙著『サラブレッドの血筋』の第4版で こちら のとおり触れましたが、 留意したいのは、上記9頭中4頭もの母は太字ということです。つまりその母は、アメリカンファラオを相手にしなくとも別途GI馬を産んでいるのです。

特にビホールダーマイルSの勝馬 As Time Goes By の母 Take Charge Lady は、全て違う種牡馬相手に3頭のGI馬を産んでいます。 よって、As Time Goes By をGI馬にさせた源は、もっぱらアメリカンファラオの血だと考えてしまうような早合点は禁物ということです。

アメリカンファラオに、社台SSの今年の最高種付料トリオたるイクイノックス、キタサンブラック、キズナに集まった牝馬群と同等レベルの牝馬群が集まるとは思えませんが、 いずれにしても日高の起爆剤となるべく、優れた産駒の誕生を願うのみでしょう。 ……と書きながら思ったのは、天下の米三冠馬よりも内国産種牡馬の方に名牝が集まるなどとは、「「内国産」というレッテル」 に書いた時代では到底想像もできないことだったということです。

(2025年10月11日記)

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